ナースの疑問Q&A|そこが知りたい!時間外労働と残業代

ナースの残業や時間外労働がとっても多いです。無制限に残業をさせてはいけないはずですが? それに細かい残業部分が不明瞭です。とても疑問ですが、ナースの残業は労基法ではどうなのでしょうか。まず、基礎知識を得たいです。

Q1 時間外労働の時間制限ってありますか?
Q2 残業代30分未満は切り捨て。これは違法?
Q3 固定残業代以上の残業、サービス残業では?

 

Q1看護師は時間外労働が非常に多い。病院側は残業代さえ払えば、無制限に残業させることができるのか?

 
A1 結論としては、労基法で、一定の制限時間を規定しています。
 

1.法定労働時間と労使協定による時間外労働時間とがある。

労基法では、法定労働時間と労使協定による時間外労働時間とがあります。
法定労働時間は、1週40時間、一日8時間まで。
労使協定により、45時間(1か月間)までは時間外労働が可能です。

2.時間外労働がゆるされる場合

時間外労働が許される場合をまとめます。
原則、法定労働時間を超えて労働させる時間外労働は、労働基準法で禁止されています。が、

次の場合には時間外労働が許されています。
① 時間外・休日労働協定による場合
② 災害などによる臨時の必要がある場合
③ 公務(一定の公務員)による場合

このうち、「①時間外・休日労働協定による場合」が、時間外労働にあたります。

これは労使協定(労働者代表と使用者との書面による協定)を締結し労働基準監督署長に届け出をし、締結した時間までであれば労働時間を延長することができます。

3.時間外労働の限度基準

時間外・休日労働協定で決めた時間数を超えてさらに労働時間を延長しなければならないような特別の事情が生じたときに限り、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長できる旨を定めた場合は、限度時間を超える時間数とすることも可能です。

ただし、これはあくまでも“臨時的なもの”に限られており、通常時に限度時間を超えて労働時間を延長することは認められておりません。

上記のように、時間外労働については、労働基準法において、厳格なルールが定められています。そのため、病院は賃金を支払えば無制限に時間外労働を行なわせてもよいというものではありません。
表1 法定労働時間

 原則  〇1週40時間〇1日8時間
 特例(労働者数が10人未満の病院)  〇1週44時間〇1日8時間

 

表2 労働時間の延長時間の限度

労働時間延長の限度

労働時間延長の限度

 

Q2 残業代で、30分未満は切り捨てされています。これは違法では?

残業回数が多いので、切り捨て分を月トータルするとかなりな数字になります。

 
A2 残業代の切り捨ては、一定のルールで容認されてる部分もあるが、原則 違法です。
残業代の切り捨ては、事務処理の関係で認められている部分もありますが、切り捨て扱いは、明らかに違法です。
ですが、現実問題として、サービス残業になっている病院や事業所は結構あると思います。

 

賃金支払いの考え方

労働基準法第24条で「賃金はその全額を支払わなければならない」とあります。

賃金は“労働時間分は全部”支払いを受ける権利があります。
例として、通常の勤務が18時までで、残業を18時20分までしたのに18時までの賃金しか支給されない場合、「20分が未払い」となります。

残業を18時50分まで延長したのに、18時30分までしか支給されず、20分カットされた場合も同じです。

今回のように30分未満の残業代を切り捨てが違法であるわけで、15分未満、10分未満も実は切り捨て違法です。
そこで、使用者側としては、この端数計算がとても大変な業務負担になるので、端数を一定の方法で処理することは認められています。

 

時間外労働等の時間の端数の切り捨て/切り上げ

時間外労働等の割増賃金の計算過程で、端数を切り捨て切り上げなど、使用者側の事務処理を簡素化する目的としたものと認められていて、違法にはならない。

 1か月における「時間外労働」「休日労働」「深夜業」のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げること

 

1か月の賃金支払い額における端数処理

1か月の賃金支払額について、次の方法は賃金支払いの便宜上の取り扱いと認められており、違法にならない。
① 1か月の賃金支払い額に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、50円以上を100円に切り上げて支払うこと
② 1か月の賃金支払額に生じた1000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと

 

注)5分の遅刻や早退に対して30分の賃金をカットするという処理は、労働の提供がなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)として違法となります。

 

とてもシビアな計算になるので、わかりづらいとおもいますので例を上げます。
<例1>

夕方緊急入院があり、今日は20分残業した。この場合の残業時間の計算は?

1日の残業時間 20分⇒ 残業代を「ゼロ時間」として計算することは ×(バツ)

 

<例2>

新人教育で連日残業続き、今月の残業時間の合計が10時間20分だったけど、この場合の端数時間は?

 1か月の残業時間10時間20分 ⇒ 残業代を「10時間として計算」は〇(マル)
* 「30分以上」=切り上げ
* 「30分未満」=切り捨て

 

Q3 一律定額制の残業代が支給されてるが、固定残業代以上に働いています。これはサービス残業では?

 
A3 固定残業代以上の時間外労働は、その部分に対する割増賃金の支払いが必要。支給されてないなら、サービス残業です。
一律定額制の固定残業代とは
時間外労働や休日労働をすると、その時間分の割増賃金が支給されます。

ところが、病院によっては、時間外労働を何時間しようが一律定額制で、「固定残業代」として支給しているところがあります。
その場合、時間外労働がある・なしにかかわらず、あらかじめ決めた一定額を時間外労働の割増賃金として支払います。

この固定残業代は、「管理手当」「調整手当」「職務手当」など、病院によってさまざまな名称をつけ、使用者側にとって割増賃金の集計などの手間を省くメリットがあります。

 

固定残業代を支給しても 超過分は割増賃金の支払いが必要

※ 固定残業代とは、何時間残業しても、あらかじめ決めた低額の残業代を支払えばよいというものではなく、低額の残業代を超える部分については、超過分に対しる支払いが必要です。

時間外労働の時間数が毎月同じ頻度の病院、毎月20時間の時間外労働が発生する病院が、毎月決まって20時間分の割増賃金を一律定額制で支給するのが固定残業代です。

しかし、ある月に時間外が多くなり、例えば30時間の時間外労働をした場合は、低額の時間外労働の割増賃金は20時間しか支給していないので、さらに10時間分の時間外労働の割増賃金を支払わなければならない。

この点を勘違いしている病院が多々あり、一定額の残業代を支払っておけば何時間残業させても追加で割増賃金を支払う必要がないととらえていますが、これは明らかなサービス残業といえます。

 

表1 固定残業代で残業が多くなったときの考え方

固定残業代とサービス残業の関係

固定残業代とサービス残業の関係

 

残業が少ない月の場合

固定残業代とはあらかじめ決めた一定額を支払うものだから、残業が少ない月に減額するのであれば、そもそも固定残業代ではありません。

ただ、時間外労働が多くなった場合に割増賃金を抑えたいという間違った解釈で固定残業代を採用しているところもあるようです。

 

給与の年俸制では割増賃金を明確にしておこう

※ 年俸制の場合でも、時間外労働や休日労働に該当する部分を定めていないのであれば、実際に時間外労働や休日労働をした場合には、それに該当する賃金を別途支払わなければなりません。

年俸制の場合、時間外労働や休日労働の割増賃金も、問題になる事が多いようです。

時間外労働や休日労働にかかる割増賃金を含めて年俸制を決めている場合、そのうちいくらが時間外労働や休日労働に該当する部分なのかを明確にしておく必要があります。

でも、そこまで定めている病院は少なく、その多くは年俸を単純に16か月等分にし、そのうち12か月分は毎月支給し、残りの4ヶ月分をそれぞれ夏冬のボーナスとして支給する方法や、月給16か月分に相当する金額を年俸とし、12か月で均等割して毎月支給する方法を採用しているにすぎません。

看護の夜勤・交替制勤務のガイドライン

時間外労働や当直・日直のガイドラインが2013年に日本看護協会から出されていますので、参考までに引用しておきます。

 

看護職の夜勤・交代制勤務ガイドラインの勤務編成の基準

項 目 基     準
基準1 勤務間隔 勤務と勤務の間隔は11時間以上あける。
基準2 勤務の拘束時間 勤務の拘束時間は13時間以内とする。
基準3 夜勤回数 夜勤回数は、3交代制勤務は月8回以内を基本とし、それ以外の交代制勤務は労働時間などに応じた回数とする。
基準4 夜勤の連続回数 夜勤の連続回数は、2連続(2回)までとする。
基準5 連続勤務日数 連続勤務日数は5日以内とする。
基準6 休憩時間 休憩時間は夜勤の途中で1時間以上、日勤時は労働時間の長さと労働負荷に応じた時間数を確保する。
基準7 夜勤時の仮眠 夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定する。
基準8 夜勤後の休息(休日を含む) 夜勤後の休息について、2回連続夜勤後にはおおむね48時間以上を確保する。
1回の夜勤後についてもおおむね24時間以上を確保することが望ましい。
基準9 週末の連続休日 少なくとも1か月に1回は土曜・日曜ともに前後に夜勤のない休日をつくる。
基準10 交代の方向 交代の方向は正循環の交代周期とする。
基準11 早出の始業時刻 夜勤・交代制勤務者の早出の始業時刻は7時より前を避ける

(日本看護師協会資料より)

 

まとめ

時間外労働に関しては、日々、15分 20分 といった細かい数字でも毎日となると3日で1時間とかになりますので、3日に一度1時間超過勤務につけてもらうなどの交渉もありかと思います。

とにかく 時間外労働はなにかとトラブルになりやすい部分なので、勤務先の就業規則を熟知しておく必要があります。

また時間外でどれくらい就労したか、何の仕事で残業したか、ノートに記録しておきましょう。そのうえで不満を感じたら、データをもとに、看護師長に相談するなり、改善してもらうよう働きかけもできると思います。

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