「特定看護師(仮称)」|看護師のキャリアアップのチャンス到来か?

「特定看護師(仮称)」のこと、もう看護現場では話題になってますよね? 看護師資格で「特定行為に係る看護師の研修制度」の研修を受けるチャンスが到来です。
法律の改正で、「特定行為に係る看護師の研修制度」で医師しかできなかった特定行為を看護師が代行できるようになります!!

目 次

1.特定看護師(仮称)とは?
2.「特定行為に係る看護師」の研修制度
3.「特定行為に係る看護師の研修制度」の背景
4.想定される受講者
5.特定行為研修の内容
5-1<共通科目>
5-2<区分別科目>
6. 特定看護師の裁量シュミレーション
7.まとめ

 

checking blood pressure

1.「特定看護師(仮称)」とは?

新保健師助産師看護師法が改正され、公布(平成26年6月25日)されました。
施行は、平成27年10月予定です。もうすぐ目の前です。

改正内容の中で特筆すべき部分が「特定行為に係る看護師の研修制度」です。
特定行為とは、医師の包括的指示の下、特定の医療行為を実施できる看護師を想定しています。

「特定看護師(仮称)」としているのは、研修を受けた看護師に対する認証資格がまだ確定していないため、ここでは暫定的に日本看護師協会が提言している仮称を使うことにします。

現状、看護師の国家資格としては、看護師・准看護士・助産師・保健師などがあります。
また、看護師のキャリアアップとして、「専門看護師」「認定看護師」「認定看護管理者」資格がありますが、この資格は日本看護師協会の発行資格で、受験に際し、看護師有資格者で、且つ、実務経験年数に応じて、受験できますが、どちらも看護関連大学院修士課程を修了しているのが必須条件だったり、看護師長などの看護師の指導経験も必要とされ、なかなかハードルが高いですね。

これらの現存する資格と、「特定看護師(仮称)」を増やすことの是非も論じられているようです。
当初「特定看護師(仮称)」資格授与と想定したようですが、ゆくゆくは公的資格となると思いますが、とりあえず、「研修受講者」となる模様で資格の公的名称は未確定です。

この件に関してはまだ流動的で、詳細はこれから決まっていくと思いますが、看護師協会などが提案している内容に沿って説明したいと思います。

 

2.「特定行為に係る看護師の研修制度」とは?

特定行為とは、医師の包括的指示の下、特定の医療行為を実施できる看護師を育成する「看護師の研修制度」です。
特定行為がどのようなものかは、厚生労働省が想定しているのは、訪問看護先で、医師の指示のもと、看護師だけで特定の医療行為を代行できるようにする法律です。

(特定医療行為の範囲は、5-2 特定医療行為の区分表を参照)

「特定行為に係る看護師の研修制度」は看護師資格で研修が受けられます。
また、昼間6か月間授業を受けなくてはならない認定看護師のような厳しい条件ではなく、e-ラーニングも可能のようなので、門戸は広くなると思います。

 

3. 「特定行為に係る看護師の研修制度」の背景

なぜ、「特定行為に係る看護師の研修制度」を設けたのか?というと、
少子超高齢社会を迎え、医師の不足、看護人材、介護人材等の不足が深刻化している中で、後期高齢者が25%を超える「2025年問題」への対応策です。病状が安定している患者は家庭での訪問看護の方向に医療制度が大きく舵を切っています。
現状ですと、医師が同行しないと医療行為はできません。医師の人材不足から、現状でも対応が足りていない状況です。ですから、看護師に高度な技術を習得してもらい、看護師の裁量の範囲を拡大し、「2025年問題」を乗り切ろうとする方針なのです。

65歳以上の認知症の人は2012年時点で462万人、およそ7人に1人です。
それが、2025年には65歳以上の約700万人が認知症になるとの驚愕の推計が出ており、団塊の世代が75歳以上になる2025年には、65歳以上の5人に1人にあたる700万人前後に増えるという数値が厚生労働省から出ました。
成人病や身体障害の患者数も付加されるのですから、相当な医療行政の負担となることが想定されます。

医療費削減のため、なるべく家庭で介護や療養をする方向に医療行政はおおきく舵をきりました。
そのかわり、支援体制として、訪問看護や訪問介護、通所リハビリテーション施設の充実などが喫緊の課題なのです。
医師の特定行為を看護師が代行することにより、人件費削減も図られます。

「予防し、治し、支える」医療への積極的な転換が叫ばれてますが、具体的には、訪問看護や通所リハビリテーションでの特定行為の代行や、たとえば、集中治療室での呼吸器の調整などを担当する看護師の充実が急務なわけです。

 

4.想定される受講者

日本看護協会のHPによると、特定行為研修の受講者は、概ね3~5年以上の実務経験を有する看護師を想定しているようです。ただし、これは、特定行為研修の受講者の要件を特定するものではありません。

なお、概ね3~5年以上の実務経験を有する看護師とは、所属する職場において日常的に行なうことができる方であり、チーム医療のキーパーソンとして機能することができる方とあります。
すでに実践の場で特定行為の範囲のキャリアを積んでるかたは、その部分の研修を免除されます。

 

5.特定行為研修の内容

特定行為研修は、
○ 看護師が手順書により特定行為を実施するために共通して必要な知識・技能を習得するために必要な科目(以下「共通科目」という。)
○ 看護師が手順書により特定行為を実施するために特定行為区分ごとに必要な知識・技能を習得するために必要な科目(以下「区分別科目」という。)で構成するものとする。
なお、各指定研修機関において専門的な教育が必要と考える内容等について、各指定研修機関の判断により追加することは差しつかえないものとする。
とあります。

 

5-1<共通科目>

共通科目の教育内容及び時間数は、以下のとおりとする。

教 育 内 容 時  間
臨床病態生理学 45
臨床推論 45
フィジカルアセスメント 45
臨床薬理学 45
疾病・臨床病態概論 60
医療安全学 30
特定行為実践 45
合  計  315時間

 

5-2 <区分別科目>

  • 看護師が手順書により特定行為を実施するために特定行為区分ごとに必要な知識・技能を修得するために必要な科目

区分に含まれる行為に共通して学ぶべき事項 + 行為毎に学ぶべき事項 (1区分15~72時間)

区分

区   分 教 育 内 容 時 間
呼吸器関連(気道確保に係る行為) 経口・経鼻気管挿管チューブの位置調節 22
呼吸器関連(人工呼吸療法に係る行為) 人工呼吸器モードの設定条件の変更、人工呼吸管理下の鎮静管理、人工呼吸器装着中の患者のウィーニングの実施及びNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)モード設定条件の変更に必要な知識及び技能 63
呼吸器関連(長期呼吸療法に係る行為) 気管カニューレの交換に必要な知識及び技能 21
動脈血液ガス分析関連 直接動脈穿刺による採血及び橈骨動脈ラインの確保に必要な知識及び技能 30
循環器関連 「一時的ペースメーカー」の操作・管理、「一時的ペースメーカーリード」の抜去、PCPS(経皮的心肺補助装置)等補助循環の操作・管理及び大動脈内バルーンパンピング離脱のための補助頻度の調整に必要な知識および技能 45
透析管理関連 急性血液浄化に係る透析・透析濾過装置の操作・管理に必要な知識及び技能 27
腹腔ドレーン管理関連 腹腔ドレーン抜去(腹腔穿刺後の抜針含む)に必要な知識及び技能 21
胸腔ドレーン管理関連 胸腔ドレーン抜去及び胸腔ドレーン低圧持続吸引中の吸引圧の設定・変更に必要な知識及び技能 30
心嚢ドレーン管理関連 心囊ドレーン抜去に必要な知識及び技能 21
創部ドレーン管理関連 創部ドレーン抜去に必要な知識及び技能 15
創部ドレーン抜去に必要な知識及び技能 褥瘡・慢性創傷における血流のない壊死組織の除去及び創傷の陰圧閉鎖療法の実施に必要な知識及び技能 72
循環動態に係る薬剤投与関連 持続点滴投与中薬剤(降圧剤)の病態に応じた調整、持続点滴投与中薬剤(カテコラミン)の病態に応じた調整、持続点滴投与中薬剤(利尿剤)の病態に応じた調整、持続点滴投与中薬剤(K、Cl、Na)の病態に応じた調整及び持続点滴投与中薬剤(糖質輸液、電解質輸液)の病態に応じた調整に必要な知識及び技能 60
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 病態に応じたインスリン投与量の調整に必要な知識及び技能 36
栄養・水分管理に係る薬剤投与 脱水の程度の判断と補液による補正及び持続点滴投与中薬剤(高カロリー輸液)の病態に応じた調整に必要な知識及び技能 36
栄養に係るカテーテル管理関連(中心静脈カテーテル関連) 中心静脈カテーテルの抜去に必要な知識及び技能 18
栄養に係るカテーテル管理関連(PICC関連) PICC(末梢静脈挿入式静脈カテーテル)挿入に必要な知識及び技能 21
精神・神経症状に係る薬剤投与関連 臨時薬剤(抗けいれん剤)の投与、臨時薬剤(抗精神病薬)の投与及び臨時薬剤(抗不安薬)の投与に必要な知識及び技能 57
感染に係る薬剤投与関連 臨時薬剤(感染徴候時の薬剤)の投与に必要な知識及び技能 63
皮膚損傷に係る薬剤投与関連 抗癌剤等の皮膚漏出時のステロイド薬の調整・局所注射の実施に必要な知識及び技能 39
ろう孔、カテーテル管理 胃ろう・腸ろうチューブ、胃ろうボタンの交換及び膀胱ろうカテーテルの交換に必要な知識及び技能 48

ttp://www.nurse.or.jp/nursing/tokutei/pdf/iken-201501.pdf

 

6.特定看護師の裁量シュミレーション

次掲の特定行為のシュミレーションを見て頂くと、看護師の裁量が拡大することがよくわかります。
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平成26年9月10日 第一回看護師特定行為・研修部会
特定行為に係る看護師の研修制度の概要 から

 

7.まとめ

研修も就労職場が研修施設認定されたら、仕事しながら、研修が進むと思います。認定看護師や、専門看護師のように主に看護師のリーダー役、指導教官的立場の資格者を増やすより、現場の看護師さんの裁量の拡大を図り、2025年問題に対処する方針は、看護師全体のレベルアップの機会です。

高齢化社会はすでに到来しており、そこにあなたの看護師として生きる意味が存在しているとおもって過言でないと思います。
すでに数は少ないですが、数人の気の合う看護師さんで、訪問介護ステーションを開業している事例も増えています。
今後はもっともっと そういう事例が増えると思います。
そこには定年制はなく、生涯現役として、地域に密着した社会貢献ができる姿が想定できますね病院内でも医師と看護師との関係がずいぶん変わるのではと感じています。

担当患者にたいしての特定医療行為について、医師からの一方的ではなく、看護師も医療処置についての是非を、率直に具申するなど、もっと進んだ関係が築けるようになることを期待したいと思います。

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