看護師の転職で年俸制は得? 年俸制の落とし穴

あなたが、管理職クラスに昇進したり、 キャリアアップして、事業主から、年俸制を提示されたとします。年俸制のことをどれくらい把握していらっしゃるか、失礼ですが、はなはだ疑問です。
そこには民間の会社でもよく問題視される落とし穴が潜んでいます。
雇用主側が勘違いしている場合もけっこうあるようです。
果たして年俸制は得なのか? 噂では損するということも聞こえてきます。
ここで、年俸制について、きっちりと押さえておきましょう。

年俸制とは?

年俸制が得?か損か?シーソーゲーム

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労働基準法に年俸制の労働時間規制はない

年俸制は労働時間に関係なく、被雇用者の成果や業績に対して賃金を年俸として支払う賃金制度です。
じつは労働基準法では、「年俸制」という賃金形態は定義されていないので、一般的に雇用者と被雇用者が年額固定額をもって賃金を定める場合が年俸制と呼ばれているわけです。

年俸制は、本来、管理監督者、機密事務取扱者等の管理職クラスに導入されており、労働基準法でも、これらの管理職については、労働時間に関する規制がありません。

名ばかり管理職の出現

ところが最近では、民間企業も年俸制を取り入れるところも増え、一般社員にまで年俸制が導入されているところが増えています。看護師の職場でもキャリアクラスには、年俸制が導入されて久しいです。また、管理職とは名ばかりで管理職としての権限のない立場の職員までが管理職という名のもとに年俸制にして、問題が起きております。

参考:
<年俸制の一般的な査定方法>
外資系やベンチャー企業での本来の年俸制は、原則1年ごとに労使双方で面接交渉により、次年度の年俸が決められます。野球の年俸制と似た方式です。ですから、一般的な月額賃金制度のように、決められた給与体系表により、1年毎に自動で給与がベースアップしていく方式とは異なります。

<年俸制が有利な面>
年俸制の有利な面は、退職金算定時の基礎月額(年額÷12カ月)が月給制より高くなります。年俸制のひとと、月給制の人がトータル年収が同じでも、月給制は基本給+諸手当となっているので、退職金の算定基礎月額が低くなるからです。

年俸制の落とし穴

年俸制の落とし穴

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労働基準法に「年俸制」がないための落とし穴

労働基準法では、「年俸制」という賃金形態がない・・・と既述しました。
法律上の特別の賃金形態ではないため、労働時間や賃金に関する労働基準法上の規制は適用されるのが原則と解釈され、また労働基準監督署からの指導もその線に沿っています。

管理監督者、機密事務取扱者については、労基法では、労働時間に関する規制がありませんので、労働時間が法定時間を超えても割増賃金を支払う必要はありません。また、裁量労働制などのみなし労働時間制の場合には、実際の労働時間に関係なく、みなし時間に応じた年俸が設定が認められています。
注)(「みなす」という用語は、「その事実を確定的に真実であると扱う」という意味になります。)

ただし、労働基準法では労働時間の長さを基準に規制をしていますので、年俸制を導入した場合にも(労基法では年俸制の概念がないので)、実際の労働時間が法定労働時間を超えれば、時間外手当を支払わなければならないことになります。

ここに年俸制の落とし穴があります。

雇用者側が、えてして勘違いしている場合があるのは、年俸制にすれば、みなし超過手当分も含むのだから、超過勤務手当を払わなくていいという勘違いです。

一般職員は年俸制でも時間外手当が発生

年俸制は本来、労働時間に関係なく、その職種と立場にたいしての報酬なので、すっきりと年俸制を適用できる立場のひとはひとつの職場でそう多くはないはずですし、経営管理権限のない立場のひとにはなじまないものですから、一般職員にまで年俸制を適用する場合、実際の労働時間が法定労働時間を超えれば、時間外手当が支払われなくてはなりません。

転職や昇進で年俸制の提示をされたら

転職や昇進で、年俸制を提示された場合、年俸額の算定基準を明確にしてもらう必要があります。
基本給相当額はいくらか 役職手当分相当額はいくらか、みなし超過勤務手当分はいくらなのか、をきちんと書面で契約する必要があります。 それを年俸を12等分にし、月一回給与という形で支給を受けるか、16等分にして、通常月一回支給を12か月と賞与相当分として、年2回合計4ヶ月分で支払いを受ける方法とがあります。

そのうえで、みなし超過勤務を上回る時間の時間外労働があった場合には、不足分の支払いを受ける権利があります。
また、みなし時間外労働より実際の時間外労働のほうが少なかった場合には、その分を返還する必要はないものと解釈されます。
これらの点をしっかりと認識しておいて 交渉してください。

看護師が年俸で受給している割合

日本看護師協会の調査では、10病院のサンプルがありますが、年俸制を採用している病院は1病院だけです。
たった10病院のサンプルですのでなんとも言えませんが、まだ年俸制が浸透しているかどうかは把握しきれていませんね。
その1サンプル病院では、看護職の年俸制適用者は、看護部長や副看護部長クラスで、年俸額は前年度の支給額に実績や経営収支などを勘案して、理事会で決定されます。

まとめ

年俸制については、その性質を知っておくことは無駄ではないと思います。
民間企業で一般社員にまで年俸制が増えつつあるわけですから、基礎知識は持っておくべきでしょう。
そして、ご自分が年俸制に直面したら、年俸額の根拠(基本給相当分・役職手当相当分・時間外手当相当分)をきちんと交渉しましょう。

また、年俸制、または、1年に1号俸ずつ昇給する給与のいずれにおいても、超過勤務や夜勤・当直・日直などの時間とおおまかな出来事を各自記録しておく習慣はとても大切です。

自分を守り、職場労働環境の改善にも役立つ資料となりますので、面倒がらずに記録してください。
もしも転職を考えたとき、あなたの冷静な判断材料にもなることでしょう。

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